第1章 行政概論 重要ポイントまとめ

産廃物とは

産廃物とは占有者が自分で利用したり他人に有償で譲渡する事が出来ない為に不要となった固形状または液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く)をいい、工場や自動車から排出される排気ガス等の気体状のものは廃棄物に該当しない。

土砂に準ずるものは廃棄物から除外されている。

廃棄物とはそのものの性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無および占有者の意識等を総合的に勘案して判断すべきものである。

産業廃棄物には、あらゆる事業活動に伴うものと特定の事業活動に伴うものがある。

「燃え殻」「汚泥」「廃油」「廃酸」「廃アルカリ」「廃プラスチック類」「ゴムくず」「金属くず」「ガラスくず・コンクリートくず及び陶器類くず」「鉱さい」「がれき類」「ばいじん」の12種類の廃棄物は、製造工程において排出されるものから製品の使用後に廃棄されるものまで、全てが産業廃棄物である。

一方「紙くず」「木くず」「繊維くず」「動植物性残さ」「動物系固形不要物」「動物の糞尿」「動物の死体」の7種類の廃棄物については、特定の事業活動に伴って排出される場合のみ産業廃棄物に該当する。

例えば、製紙工場から排出される紙くずや食料品製造業から排出される動植物性ざんさは産業廃棄物になるが、商店や病院から排出される紙くずやレストラン等から排出される残飯類は一般廃棄物となるので取りあつかいに注意する必要がある。

産業廃棄物の収集運搬基準

産業廃棄物が飛散し、及び流出しないようにすること運搬車、運搬容器および運搬用パイプラインは、産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れる恐れがないものである事。

石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物、の収集、運搬を行う場合は、石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物を破砕することのないような方法により、かつ、その他の物と混合する恐れがないように他のものと区分して、収集、運搬すること。

産業廃棄物の収集、運搬を行う場合には、産業廃棄物の収集運搬車である旨とうを運搬車の車体の両側面に表示し、かつその運搬車に必要事項を記載した書面を備えつけなければならない。

積替保管の基準

見やすい箇所に産業廃棄物の積めかえの保管場所である旨、その他、産業廃棄物の保管に関して必要な事項を表示した掲示板が設けられている事、掲示板は縦および横それぞれ60cm以上とし、保管場所の管理者の氏名または名称および連絡先、保管する産業廃棄物の種類、最大保管たかさ(野外で容器に入れず保管する場合)、最大保管量を記載すること。石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物及び水銀含有ばいじん等を保管する場合は、掲示板の保管する産業廃棄物の種類の欄にその旨を記載すること。

許可の種類

他人から委託を受けて、(特別管理)産業廃棄物の収集運搬又は処分を行う場合には、(特別管理)産業廃棄物の処理業の許可が必要である。処理業には普通の産業廃棄物、及び特別管理産業廃棄物について、それぞれ処理運搬業と処理業の許可があり次の四種類の許可に分類される

・産業廃棄物収集運搬

・産業廃棄物処理業

・特別管理産業廃棄物収集運搬業

・特別管理産業廃棄物処分業

許可は四種類に分類されているため特別管理産業廃棄物処理業の許可を取得していても普通の産業廃棄物の処理はできない。例えば、特別管理産業廃棄物の「汚泥」の収集運搬業の許可を取得しても別途、普通の産業廃棄物の「汚泥」の許可がなければ、普通の産業廃棄物の「汚泥」の収集、運搬はできない。

許可申請

(特別管理)産業廃棄物の収集・運搬または処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事とうの許可を受けなければならない。処分業の場合は処理施設の設置場所の都道府県知事等の許可が必要である。また運搬のみを業として行う場合には積卸しを行う管轄する都道府県知事とうから許可を得ればよく途中通過するだけの都道府県からの許可を得る必要はない。業の許可を取得するには、申告が許可の基準に適合していること及び申請者が欠格要件に該当していないことの二つの要件を満たすことが求められている。

許可の基準には施設に係る基準と申告者の能力に係る基準がある許可の基準には、事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確かつ継続して行うに足りること。「申告者の能力」とは知識及び経理的基準を有することである。

欠格要件

欠格要件とは申請者の一般適性について、法に従った適性な業を遂行することが期待できない者を類型化して排除することを趣旨としており、本法には破産者、暴力団員、その他が規定されている。破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受ける事が無くなった日から5年を経過しない者、産廃物処理法、浄化法、その他大気汚染防止法とうの生活環境の保全を目的とする法令若しくはこれらの法令に基づく処分若しくは「暴力団員による不当な行為の防止とうに関する法律」の規定に違反し、又は「刑法(傷害・現場助勢・暴行・凶器準備集合及び結集・脅迫・背任)」若しくは「暴力行為とう処罰に関する法律」の罪を犯し、罰金を処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることが無くなった日から5年を経過していない者。暴力団員または暴力団員で無くなった日から5年経過していない者。

変更許可申請

処理業の許可を受けている者が、許可証に記載せれている「事業の範囲」を変更しようとするときは、当該変更が事業の一部廃止である場合を除き、(特別管理)産業廃棄物処理業の事業範囲の許可を受けなければならない。

事業の範囲の変更とは、

・取り扱う(特別管理)産業廃棄物の種類の追加(収集運搬業、処分業共通)

・積替保管を新たに行う(収集運搬業)

・処分方法の変更(処分業)

名義貸しの禁止

(特別管理)産業廃棄物処理業者は、自己の名義を持って、他人に(特別管理)産業廃棄物の処理を業として行わせてはならない。

委託基準

(特別管理)廃棄物の処理を許可業者に委託する場合は、委託する(特別管理)廃棄物の処理の業務が受託者の許可証に記載されている「事業の範囲」に含まれていなければならない。ここでいう「事業の範囲」とは、収集運搬業の場合は取り扱う(特別管理)産業廃棄物の種類と積替保管の有無をいい、処分業の場合は取り扱う(特別管理)産業廃棄物の種類と処分方法をいう。

二者間契約の遵守

排出事業者が(特別管理)産業廃棄物の処理を(特別管理)産業廃棄物処理業者に委託する場合には、排出者と(特別管理)産業廃棄物収集運搬業者、排出者と(特別管理)産業廃棄物処分業者の間(二者間)で委託契約を締結しなければならない。この場合、排出業者は、委託しようとする産業廃棄物の処理の業務が、収集運搬業者及び処分業者のそれぞれの事業の範囲に含まれるものであることを許可証により十分確認した上で、委託契約を締結しなければならない。いっぽう、収集運搬業者、処分業者は許可証を排出業者に提示し、事業の範囲を確認してもらうことが必要である。

再委託の禁止

再委託とは排出業者と当初の委託契約を結んだ者が、他のものにその業務を委託することであり、原則として禁止されている。ただし、排出業者があらかじめ書面で承諾するなど施工令で定める再委託の基準に従って委託する場合や、中間処理産業廃棄物の処理に係る委託について施工規則で定める場合には例外的に再委託を認めている。

また産業廃棄物処理業者の再々委託は例外なく禁止されている。

投棄禁止

法は、何人もみだりに廃棄物を捨ててはならないと規定しており、廃棄物の不法投棄を厳しく規制いている。これに違反した場合には罰則の対象となる。(5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこの併科、さらに法人に対して3億円以下の罰金)

不法投棄により生活環境保全上支障を生じている現状があることから、廃棄物の不法投棄に対する罰則は大幅に強化されている。不法投棄未遂や不法投棄をする目的で廃棄物を収集運搬した者に対しても罰則がある。

立入検査

都道府県知事とうは、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、処理業者の事業場、事務所、車両とう、産業廃棄物処理施設のある土地もしくは建物に立入検査をさせる事ができる。立入検査では、廃棄物の処理又は施設の構造もしくは維持管理について、帳簿書類、その他の物件を検査させ廃棄物である疑いのあるものを無償で収去させることができる。産業廃棄物処理基準または産業廃棄物保管基準が適用される者により、当該基準に適合しない、産業廃棄物の保管、収集、運搬または処分が行われた場合に、都道府県知事とうは、期限を定めて、産業廃棄物の保管、収集、運搬または処分の方法の変更その他必要な措置を講ずべき事を命ずることができる。

改善命令の対象者

・事業者 

・(特別管理)産業廃棄物収集運搬業者 

(特別管理)廃棄物処理業者 

・環境大臣が改善命令を行った無蓋化処理認定業者 

・国外廃棄物を輸入した者

措置命令

(特別管理)産業廃棄物処理基準または(特別管理)産業廃棄物保管基準に適合しない産業廃棄物の保管、収集、運搬または処分(不法投棄)行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、または生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事とうは、以下の者に対して期限を定め、その支障の除去とうの措置わ講ずべきことを命ずる事ができる。

措置命令の対象者

・当該収集、運搬または処分の工程でマニフェストに関する義務に違反した者。

・紙マニフェストの写しを送付せず、又は規定された記載事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして紙マニフェストの写しを送付した者

・紙マニフェストまたは紙マニフェストの写しを保存しなかった者

・紙マニフェストの交付を受けずに、(特別管理)産業廃棄物の引渡しを受けた者

許可の取り消し及び事業の停止

 都道府県知事とうは、(特別管理)産業廃棄物処理業者が廃棄物処理法又は同法に基づく処分に違反した場合や許可の基準に適合しなくなった場合は、その許可を取消し、または一定の期間を定めてその事業活動の全部もしくは一部の停止を命ずるなどの行政処分を行う事ができる。

欠格要件に該当した場合、廃棄物処理法に違反し特に情状が重い場合とうは、その許可を取り消さなければならない  とされており、取り消し処分について都道府県知事とうに裁量の余地はない。

違反行為をしたとき、または他人にたいして違反行為をすることを要求し、依頼し、もしくは唆し、もしくは他人が違反行為をする事を助けた時に該当し、情状が特に思い場合。特に事状が重い場合とは、不法投棄など重大な法違反を行った場合や違反行為を繰り返し行い是正が期待できない場合とう。