「委託契約とマニフェスト制度の関係」
①委託契約の趣旨
排出事業者が、(特別管理)産業廃棄物の処理を処理業者に委託する前に、まず委託する(特別管理)産業廃棄物の情報、処理の内容とそれぞれ(排出事業者と処理業者)の役割と責任等を明確にするとともに、これらを書面化することで、排出事業者責任の徹底を図るものである。
②マニフェスト制度の趣旨
排出事業者が処理業者に委託した(特別管理)産業廃棄物が委託契約書どおりに引き渡され適正な処理が確保されていることの確認を目的とした制度である。
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「契約書の記載事項」
委託契約書は、法に規定された記載事項が一つでも欠如している場合には、委託基準違反として排出事業者に罰則が適用される事がある。
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「紙マニフェストの運用」
紙マニフェストは、記載事項及び様式が法で規定されている。記載事項が欠けている場合等、施行規則に合致しない様式は、紙マニフェストとして認められず、そのようなものを使用した場合には、紙マニフェスト不交付と同様に扱われる事になる。
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「送付期限・確認期限」
(特別管理)産業廃棄物処理業者は、委託業務が終了した場合に期限以内に、排出事業者に紙マニフェストを送付さなければならない。
排出事業者は、期限までに(特別管理)産業廃棄物処理業者から紙マニフェストの送付を受けなければならない。期限までに送付を受けない場合には、すみやかに状況を把握し、適切な措置を講じなければならない。
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「帳簿作成の必要性」
処理業者は、(特別管理)産業廃棄物の種類ごとに、収集・運搬と処理の区分に応じて、必要な記載事項を所定の期限までに記載した帳簿を事業場ごとに作成し、保存しなければならないといている。
交付された紙マニフェストごとの交付者の氏名又は名称、交付年月日及び交付番号は、
紙マニフェストを交付された日から10日以内。
受入先ごとの受入量は、翌月末まで。
運搬方法及び運搬先ごとの運搬量は、翌月末まで。
積替え又は保管を行う場合には積替え又は保管の場所ごとの搬出量は、翌月末まで。
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「帳簿の備付け・閉鎖・保存」
帳簿の備付け、閉鎖、保存義務の内容は次のとおりである。
①事業場ごとに備付ける。
②1年ごとに閉鎖する。
③閉鎖後、5年間は事業場ごとに保存する。
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「行政処分と経理的規則」
処理業者が許可を取得したとしても、経理的基礎を有しなくなった場合は、産業廃棄物の処理を的確かつ継続して行うに足りる能力を欠くものとして、行政処分の対象となることに注意しなければならない。
①金銭債務の支払能力に陥ったもの
②事業の継続に支障をきたすことがなく、弁済期限にある債務を弁済することが困難である者。
③利益が計上できておらず、かつ自己資本比率が10%未満の者であって、今後持続的な経営の見込み又は経営の改善の見込みがないもの等。
経営者は、上記事項に該当するか否かを常にチェックしなければならない。
経理的基礎を有しないと判断されたときは、産業廃棄物処理業の許可を取り消される場合もある。
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「環境マネイジメントシステムEMS」
環境マネイジメントシステムとは、企業が打ち出す経営方針な中に、環境に対する方針(自社から発生する環境負荷を低減するための目標)を取り入れて、その環境方針に向けた計画をたて、実施し、点検・見直すという企業活動のことをいう。
ISO14000シリーズは(環境マネイジメントシステム)関する国際標準である。
日本における環境マネイジメントシステムの第三者認証制度として、エコアクション21 などがある。
処理業者がエコアクション21の認証取得に取り組みやすくする為にエコアクション21ガイドラインに基づく「産業廃棄物処理業者向けガイドライン」が公表されいる。またエコアクション21等の認証取得は「優良産廃処理業者認定制度」における基準項目の一つとなっている。